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名古屋高等裁判所金沢支部 平成6年(行コ)6号 判決

控訴人

冨田一

被控訴人

福井県知事

栗田幸雄

右訴訟代理人弁護士

金井和夫

右指定代理人

中山賢一

外一名

主文

一  本件控訴を棄却する。

二  控訴費用は控訴人の負担とする。

事実及び理由

第一  当事者の求めた裁判

一  控訴人

1  原判決を取り消す。

2  被控訴人が平成四年三月三日付けで控訴人に対してした、原判決添付処分目録一記載の公文書非公開処分(被控訴人が平成五年三月二九日付けで控訴人に対してした同目録二記載の異議決定で取り消された部分を除く。)を取り消す。

3  訴訟費用は、第一、二審とも被控訴人の負担とする。

二  被控訴人

主文同旨。

第二  事案の概要

事案の概要は、原判決五枚目表三行目「取得した」とあるのを「取得をした」と、同六枚目裏七行目から同八行目にかけて「各筆換地明細書集計集」とあるのを「各筆換地明細書集計表」と各改める他は、原判決事実及び理由「第二 事案の概要」(原判決一枚目裏一〇行目冒頭以下同一〇枚目表四行目末尾まで)記載のとおりであるから、これを引用する。

第三  争点に対する判断

一  当裁判所も、控訴人の本件請求は理由がないと判断するところ、その理由は、次に付加訂正する他は、原判決事実及び理由「第三 争点に対する判断」(原判決一〇枚目表五行目冒頭以下同一六枚目裏七行目末尾まで)記載のとおりであるから、これを引用する。

1  原判決一〇枚目裏四行目「ことを明らかにしており、」以下同八行目末尾までの部分を「旨規定し、同条例の解釈及び運用に当たっての実施機関の責務を定め、他方、七条各号において、公開しない公文書の範囲を定めている。」と改める。

2  原判決一二枚目表七行目「換地交付基準額』」とあるのを「換地交付基準額」と改め、同裏二行目「そして、」以下同一〇行目末尾までの部分を削除し、同一三枚目表二行目「すでに土地所有者の住所、氏名等が公開されていて」とあるのを「すでに公開された公文書によって判明する土地所有者の住所、氏名等と総合することによって、」と改める。

3  原判決一三枚目表一〇行目「前記認定」以下同裏四行目「また、」までの部分を削除し、同四行目から同五行目にかけて「本件条例三条」以下同六行目「できないから、本号本文」までの部分を「本件条例三条は、前記のとおり同条例の解釈及び運用に当たっての実施機関の責務についての一般的規定であって、同条から直ちに具体的な効果を導き出すことはできないし、前記本件条例の規定並びにこれに対して被控訴人が本件条例の趣旨、解釈及び運用について定めている解釈運用基準である「公文書公開事務の手引」(甲七、乙一)の内容に照らせば、同号本文」と改める。

4  原判決一四枚目表五行目「一旦は公開されたものであるが、」とあるのを「一旦は公開されたものであるが、右縦覧は、同法の規定に従って、一定の期間、限られた場所で行われる手続で、」と改める。

5  原判決一四枚目裏五行目「しかし、」以下同一五枚目表三行目末尾までの部分を次のとおり改める。

「しかしながら、公文書に対する公開請求権が、本件条例によって初めて権利として具体化されたものとみるべきことは、前記のとおりである(原判示)うえ、これに、「法令等の規定により、公文書を閲覧し、もしくは縦覧し、または公文書の謄本、抄本その他の写しの交付を受けることができる場合においては、当該法令等の定めるところによる。」との本件条例一六条一項の文言及び同条に関する前記解釈運用基準の内容をも勘案すれば、同条項は、他の法令等によって当該公文書を閲覧等することができない場合において、本件条例の規定に従い、公文書公開請求をなすことができることを規定したものに過ぎず、同公開請求が許容されるかどうかは、あくまでも、当該公文書につき、本件条例七条各号所定の非公開事由が存するかどうかによって決せられるべきものである。したがって、控訴人の右主張は採用できない。」

6  原判決一六枚目表三行目「規定しているが、」以下同八行目「解される。」までの部分を次のとおり改める。

「規定している。右は、個人に関する情報であっても、法令等の規定による許可、免許、届出等の際に実施機関が作成又は取得した情報には、当該個人の利害関係を超えて、県民生活に少なからざる影響を与え、又は与えうるものがあり、公益上公開をするのが相当であると考えられるものが存するが、その場合には、公益と一方これを公開されることによる特定の個人の不利益とを比較勘案した結果、なお公益の方が大とされたものを同条例七条一号の例外として、公開の対象とする旨定めたと解するのが、本件条例の趣旨にも沿うものと解される。かかる見地から判断すると、」

7  原判決一六枚目裏四行目「本件処分において」以下同七行目末尾までの部分を「前記本件条例七条一号但書ハの趣旨に照らせば、控訴人の主張する事情をもって、公開の必要性ありと認めることはできない。控訴人の右主張は採用できない。」と改める。

二  よって、控訴人の請求を棄却した原判決は相当で、控訴人の本件控訴は、理由がないからこれを棄却することとし、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 笹本淳子 裁判官 宮城雅之 裁判官 田中敦)

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